NEW高山ブログ50「人と人を繋げる」



三年半くらい前に三十代で亡くなった男がいた。
癌だ。
発見したときには、医者にあと半年と言われた。
「高山さん、俺癌になった。」
え?
「大腸癌。もうステージ4で厳しいらしい、」

「・・・」

「なんで俺のなのか?」

「・・・」

彼とは月に一回、一緒に立川に行っていた。

その車の中でいろんな話を聴いたし、私もたくさん語った。

しばらくして彼は言った。

「自分は、本当はトライアスロンをやりたかった。それが親の仕事を継ぐことになって、嫌々仕事をしていた。」

「いつもしかめっ面で働いていた。そのストレスが癌を生んだんだと。」

「家族に凄く迷惑をかけてきた。」

私は、うんうんと聴くしかなかった。

ある日、こんなことを言った。

「癌になってよかったと思います。癌にならなければ、たくさんの人に支えられていることがわからなかった。」

自分は絶句した。

凄い男だとおもった。

またある日、こうも言った。

「自分の周りには凄い人がたくさんいる。凄い人と凄い人を繋げるのが自分の使命だと思うんです。」

その言葉通り、彼は行動した。

家でバーベキューしてたくさんの人を招いたり、マラソン大会にみんなででたりした。

コーチング研修では、たくさんの人が彼と関わった。

身体がうまく動かないのに、献身的に動いていた。

彼の周りには、徐々に人が集まってきた。

いつも笑顔だった。

奇跡は起こる。

本気でそう思っていた。

年が明けて、なんとなく彼の家に行った。

私の家から2時間くらいかかるんだけど、なんか呼ばれるように行った。

彼は、もう意識が飛びそうなくらいふらふらだった。

やばい。

本能的にそう思った。

もう倒れそうなのに、それでも感謝の言葉を発していた。

「高山さん、ありがとうございます。」とふらふらの手で握手をしてくる。

意識が朦朧の中、最後まで感謝の言葉。

泣いた。

本気で泣いた。

彼はその二週間後に天国に行った。

2年半生きた。

医者に半年と言われたが2年半生き切った。

最後まで感謝で生きた彼のミッションは、人と人を繋げること。

今、自分のミッションとして脈々と生きている。

彼の心境には当然なれない。

でも、彼の顔が今でも目に浮かぶ。

凄い男だ。

絶対に忘れない。